少し前までは、正しいと思うことを言い返す性格だったのだけど、
それも時と場合と相手によって、引っ込めることもありなんだよなあ、と
考えるようになりました。特に目上の人が言いたいことがあるときは
ちがうよなという箇所をつっこまず、うなづきどころを探る。
会話は勝った負けたでなく、つなぐ・つむぐところから。
決別してもいいと割り切ったときは別ですが。
今日はお話「ねこが歌った日」のつづきです
ねこは窓辺に立ち、夜空にむかって
大好きだったおばあさんの歌を歌いはじめました。
ねこの歌声は透明のコットンのように
ふわりふわりと窓の外へ流れていきました。
さいしょに聞いたのが、そそっかしい北風。
「女神さまがお歌いだよ。みなにおしえてあげよう」
北風がせっかちに走りまわったので、
歌声はすぐに村じゅうにひびきわたりました。
なんにも知らないねこは、歌いつづけました。
村人にふしぎなことが起きていたというのに。
(つづく)