仕事の後、久しぶりに大勢で食事し、トップの方々に2次会へ誘われる。
夜8時の北新地。12年ぶりの北新地。
昔はとてもキラキラした、高嶺のクラブ街であったのだけれども
どうしたことか、足も心も家路へ誘う。
主人と義母にあずけた子供達が気にかかる、というのもあるが、
それ以上に私自身がはずまない、というほうが大きい。
ピカピカの小ぶりのグラスにしっかり冷えたビールが、
最高の注ぎ方とマナーと品を理解した女性のサービスがついてテーブルにならぶ。
そのお値段、1杯1000円以上。
いっしょに行った先輩女性の方たちは、奢りを確信してお上手を入れながら
うまく楽しんでいるのに、私は一人ムカムカして、1杯で和服のママにそっと帰らせていただいた。
「斜め向かいに美味しいパン屋さんがあるから、お身内の土産に買ってお帰りなさい。」
とママに言われた。
ムカムカと何もかもわかった優しさとで涙が出そうになった。
夜9時半の自宅。毎日がスタンダードな自宅。
発砲ビール、1缶124円。
ああ、うまい。
これが今、私の最高の価値なのだ、と、ひとり言のように思った。