わたしが おねえちゃんだったころ
本を読んでいる わたしの横で
いもうとが 本をみていた
そのころは いもうとも
ひらがなが読めるようになっていたか と おもうけど
本は声をださないと読めないのか
わたしの横で いつも 本をみていた
おねえちゃん読んで というので
あかずきん と ぶんぶくちゃがま を 読んであげた
わたしがまじめに読めば いもうとはまじめなかおをし
わたしがおもしろおかしく読めば いもうとはわらってばかりいた
いま いもうとが横にいても
血のつながったともだち のようなきもちが ひろがるばかりで
わたしはもう おねえちゃんじゃないような
時の足音が かなしい声できこえてくる
わたしがおねえちゃんだったのは
わたしだけしかしらない いもうとがいた その時だけなのかもしれない